ドイツの音楽療法とは?

 

世界にはいろいろな音楽療法があるのをご存じですか?ドイツにも多様な音楽療法があり、数多くの病院や施設で実践されています。

 

<海外およびドイツの代表的な音楽療法>

  ・分析的音楽療法

  ・深層心理学的音楽療法

  ・形態学的音楽療法 

  ・受容的音楽療法(GIMやMiMe)

  ・シュタイナーの人智学的音楽療法

  ・インテグラル音楽療法 

  ・オルフ音楽療法

   ・  神経学的音楽療法 

         ・  北欧発祥のコミュニティ音楽療法

  ・ライプニッツ学派の調整的音楽療法(現在、このメソッドはドイツ国内でほとんど行われていません)

  ・ノードフ・ロビンズの創造的音楽療法(現在、このメソッドはドイツ国内でほとんど行われていません)

  ・古代東洋音楽療法

  ・音楽医学

  

 ドイツで最もスタンダードな実践方法は、深層心理学的なサイコダイナミックアプローチと呼ばれ、現代精神分析理論やヒューマニスティック心理学などの臨床心理学と即興音楽を融合させたメソッドです。

 

この音楽療法は1970年代にヨーロッパで発展し、それ以降ドイツやオーストリアでは健康保険適用の非薬物治療法として、トレーニングを受けた音楽療法士が専門職という立場で働いています。現在ではドイツ語圏で資格を取得した12名ほどの日本人音楽療法士もドイツの病院で活躍しています。

 

音楽療法は乳幼児から年配者まですべての世代を対象に行われます。睡眠障害や適応障害などに悩む人のためにも、健康だけどもっと自分らしく生きたい人やストレス予防を目的とした人のためにも幅広く応用されています。自分を打ち明けるのが苦手な人や、精神的ケアが必要とされる現代日本社会ではとくに有意義なメソッドと考えられます。


ドイツ音楽療法センターとは?

 ドイツ音楽療法センター(GMTC)は2010年に東京で発足しました。諸外国でしか学ぶことができない音楽療法、特に分析的音楽療法、形態学的音楽療法深層心理的音楽療法の啓蒙と普及のためにさまざまな取り組みを行っています。

 

現在の主な活動内容は「音楽療法の実践」と「音楽セラピストの育成」です。将来的には研究分野でも発展が望まれます。

 

近年では精神的ケアを行うセラピスト養成のニーズが高まっており、言語療法でも医学でもない、ことばを超えた関わりのアプローチを知ることができる「音楽心理療法講座には国内外の受講者が参加しています。毎年数名はドイツへ渡り、修了生は講師やセラピストになっています。

 

2019年にはドイツ・ハンブルグ国立音楽演劇大学と提携した「臨床音楽セラピスト養成科」が開設されました。この学科は、ドイツ語圏の大学院レベルの音楽療法士と同等の技能を持つセラピストを日本で輩出することを目的としているため、実践的かつアカデミックであり、受講者はドイツ国内の現場実習を行うことが推奨されます。


内閣府地域社会雇用創造事業交付金事業

ドイツ音楽療法センターは内閣府地域社会雇用創造事業として「第1回みたかソーシャル&コミュニティビジネスプラン・コンペティション2011」において優秀賞を受賞。この年より人材育成の事業が本格的に開始されました。


ドイツの大学および海外音楽療法団体との提携協力関係

 

当センターの臨床音楽セラピスト養成科とハンブルク国立音楽演劇大学の音楽療法学科は、提携を結んでいます。(右写真は提携調印式の様子:ハンブルク国立音楽演劇大学のLampson元学長、音楽療法学科Weymann元主任教授、von Moreau主任教授、Holzwarth教授)

 

また、「アジア・ドイツ・オーストリア音楽療法士共同グループの会  ADÖ (Asiatisch-deutsch-österreichische Arbeitsgruppe für Musiktherapie)」やドイツで活動する日本人音楽療法士の協力により、現場視察や実習生受け入れなどの人材交流や定期的な情報交換などを行い、当センターは音楽療法におけるドイツと日本の架け橋的存在となっています。